流量計の選び方

1.枕と流量計の選び方

あるラジオ番組で「安眠アドバイザー」なる人が、「半分以上の人が自分に合わない枕を使っています。枕選びは本当は難しいことなのです」と言っていました。

流量計もこれに似て、以前イギリスの専門誌に「流量計の選択が適切か調査したところ、半数以上が最適ではなかった」と書いてありました。枕も流量計も種類が多い上、ひどい間違いがなければ、何とか用が足りるからでしょう。

流量計メーカーに相談すれば、当然自社製品を薦めますから、それが最適かどうかは運次第。

そこで今回は、どのようにして流量計を選ぶべきか、基礎的な解説をします。

2.流量計選びの手順

流量計を選ぶ手順は、およそ表1に示すようになります。

以下、表の順序に従って話を進めます。

3.何を測るのか?

まず、何を測るのかはっきりさせなければなりません。液体か気体か、どのくらいの流量かなど、表2に示すような項目です。こんなにたくさん!と驚くかもしれませんが、いつも全項目が必要なわけではありません。表の下の注記をご覧ください。



注1:流体名と温度・圧力から計算可能
注2:気体・蒸気の場合は不要
   液体は、流体名と温度が分かれば推定可能
注3:電磁流量計の場合のみ必要
注4:直視型流量計にのみ必要
注5:温度・濃度によって変化することに注意
注6:往復動式ポンプに注意
注7:接液部材質がセラミックの場合は、温度の
   急変に弱いので温度変化速度も必要
注8:液体・スラリーの場合は、耐圧チェック用
   気体・蒸気では、密度計算にも必要
注9:必要に応じ指定

4.何のために測るのか?

次に考えるべきことは、測った結果をどのように使うか、すなわち計測の目的です。測定対象と目的が決まれば、それに適する流量計の形式はある範囲に絞られ、選定作業が楽になります。また、必要な測定精度も目的から決まります。測定の対象と目的に適合する流量計の形式を表3にまとめます。

表3中の測定精度で、高精度とは、測定誤差が指示値またはフルスケールの1%以下、中精度とは1%から3%の間、低精度とは3%以上と定義していますが、これは公的な規格ではなく、この場での約束です。

ここで、流量計測の目的と必要な測定精度の関係について考えてみましょう。

まず、体積流量の監視、警報、制御は、いわば流量計の一般的な使い方です。この場合、表示される流量はいずれも瞬時流量であり、あまり精度を上げても意味がありません。流量の監視に高精度は要らないし、警報設定も2~3%の違いが問題になるようでは危なくて使えません。

瞬時流量は常に細かく変動していて、完全に平滑な制御はできません。無理に制御しようとすれば制御弁を常時動かす必要があり、すぐにシール部が磨耗します。

質量流量は体積流量から換算して求めることが多く、これを直接測るのは主に高精度が要求される場合です。精度が必要なのは積算流量です。理由は、ガソリンの給油量、水道の使用量など取引に絡むことが多いからです。反応タンクへの原料供給なども高精度を必要とする例でしょう。

5.製品仕様書の検討

表3に従ってある程度流量計の形式を絞り込んだら、次にメーカーの製品仕様が、要求されている仕様を満足するか否かを検討します。仕様書を読む際は、次に挙げる諸項目にも注意すべきです。

  1. 出力信号
    出力信号には、電流、電圧、パルス、警報接点などの種類があり、伝送可能な最大距離も様々です。パルス信号の場合は、その特性もよく理解する必要があります。

  2. 電源
    起動時に平常時の数倍の電流が流れる流量計もあります。同一電源から複数の流量計に供給する場合は、とくに注意しましょう。

  3. 設置場所
    流量計の前後に直管部が必要な場合は、配管中にそれだけのスペースがとれるか、また重い製品は特別な架台が必要かなど、あらかじめ検討すべきです。
    機械的振動の大きい場所や、モータやトランスのすぐ近くは避けてください。
    製品によっては筐体が屋外設置に耐えられないもの、あるいは直射日光を嫌うものもありますから、これも確認する必要があります。

  4. 保守作業
    定期的な点検を必要とする製品については、その作業方法も検討しておきます。後になって、流量計に近づけない、重過ぎて作業できないなど、トラブルになっては困るでしょう。

  5. 関連製品のチェック
    流量計を保護するストレーナ、流れの乱れを取る整流器、信号変換器や受信計器など、流量計本体以外の関連機器についても、その必要性と仕様を検討します。関連機器の手配を忘れると、流量計が届いても使えません。

6.コスト比較

最後に重要なのはコスト比較です。流量計本体の価格だけではなく、TCO(Total Cost of Ownership)を最小にすることが大切です。TCO=流量計・関連機器の価格+設置費+保守作業費 なので、全体を見通す目が必要です。

以上述べたように、流量計の選択はかなり面倒な仕事です。迷ったときは、お気軽に「計装プラザ」http://www.ksplz.info/ の無料相談窓口をご利用ください。

本稿をお読みくださった方のお役に立てれば幸いです。

著者:佐鳥 聡夫 (有)計装プラザ 代表取締役/技術士(機械、電気・電子部門)

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