渦流量計

1.名前の由来

木枯しにヒューヒューと鳴る電線。冬の風物詩ですね。ところで、なぜ電線が鳴るかご存じですか。これは図1に示すように、電線の後ろに空気の渦が発生し、これが音となって聞こえるのです。

電線に限らず、流れの中にそれを横切るように柱状の物体(渦発生体)を置くと、その両側縁部から交互に渦が剥離し、下流側に規則正しい渦列が発生します。そして、その発生頻度(周波数)は流速と物体の形状・寸法(主として断面の幅)によって決まります。この現象を理論的に解明した研究者の名にちなみ、この渦列をカルマン渦(列)と呼びます(図1)。

カルマン渦には、高い煙突や潜水艦の潜望鏡を揺らしたりする悪影響があり、どうやってこの影響を減らすかがまず問題でした。ところが、この現象を積極的に利用した流量計が、70年代に実用化されました。

2.動作原理

カルマン渦の周波数は流速に比例しますから、パイプの中に渦発生体を置き、発生する渦を数えれば流量が分かります。実際の渦発生体の断面形状は、渦の剥離する場所を一定にするため、図2に示すような台形がよく用いられます。渦の検出方法は、渦によって生じる力を圧電素子か半導体歪ゲージで電気信号に変えるのが一般的です。そのほか、サーミスタ式、静電容量式、超音波式などがあります。

3.渦流量計の特性

渦流量計の長所は次のような点です。

  1. 構造が簡単で堅牢
    機械的可動部がなく、定期点検が不要です。渦発生体は磨耗しにくい形状です。

  2. 精度がよい
    (10mm以下の小口径を除き)指示値の1%が一般的で、流量が下がっても、積算流量精度は低下しません。

  3. 流量範囲が広い
    精度を保証する最大最小流量比が、液体の場合で10:1から15:1程度あります。

  4. 多種類の流体に適合
    液体、気体、蒸気と多種類の流体が測れます(ただし、超音波渦検出方式の場合は液体専用)。

  5. 圧損が少ない
    渦発生体による圧損は、オリフィスによる圧損より小さい値です。

  6. パルス信号が直接得られる
    渦の数を数えているため、流量積算に便利なパルス信号が直接得られます。瞬時流量(アナログ信号)からパルス信号を作り出す方式と違って、余計な変換誤差が生じません。

では、短所はどうでしょうか。

  1. 直管部が必要
    差圧式流量計、超音波流量計と同様、流量計の上流側に口径の10倍、下流側に5倍程度、配管状況によってはさらに長い直管部を必要とします。

  2. 振動に弱い
    流量計には、様々な外部振動が配管を通して伝わってきますが、渦検出素子がこの振動を拾い、偽の流量信号を出力することがあります。最近の製品では改良が進み、振動の影響を受けにくくなりました。

  3. 脈動流の影響
    プランジャーポンプやダイアフラムポンプは、流速が周期的に変わる脈動流を作り出します。脈動と渦の発生周波数が近いと、両者が同期してしまうことがあります。脈動流は容積式流量計や渦流量計の出口にも生じますから、これらのすぐ下流側に設置するのは避けてください。

  4. 高粘度流体に不適
    流体の粘度が高くなると、精度を保証できる下限流量が上がります。下限流量以下でも信号は出ますが、これにも限界があり、限界を超えると信号が消えます。

  5. 低流量で信号が消える
    前項の問題と関連しますが、流量がある値以下に下がると信号が出なくなります。出力が急にゼロになるので、システム設計の際注意が必要です。

4.応用例

いろいろ短所を挙げましたが、弱点を避ければ渦流量計は素晴らしい能力を発揮します。150mm以下の口径であれば、比較的安価で、何でも測れる汎用流量計としての条件を満たしています。シンプルな構造であるため取付けが簡単であり、一旦うまく動き出せば後は放っておいてかまいません。

以下、渦流量計の応用例をいくつかご紹介します。

  1. 高温流体の測定
    400℃の高温で使える製品があり、過熱蒸気も測れます。オリフィスを使った差圧式流量計より測れる流量範囲が広いため、季節により流量が大きく変わる蒸気配管の流量測定には好適です。またオリフィスの場合のように、導圧管内部に凝縮水を満たす必要もありません。
    熱エネルギーを運ぶ熱媒油は常温で高い粘度を示しますが、運転時の粘度は大幅に下がるため、渦流量計が使えます。同様にして溶融プラスチックを測った例もあります。

  2. スラリーの測定
    渦発生体から渦が剥離する部分のエッジは、オリフィスのエッジと同様にシャープに保つ必要があります。しかし、オリフィスより流れの絞り具合が緩やかで、磨耗しにくいといえます。したがって濃度の低いスラリーであれば測定可能です。あるユーザーが磨耗性のスラリーに渦流量計を試用したところ、1年足らずでエッジが磨耗しました。このスラリーは非導電性であるため、スラリー計測に標準的に用いられる電磁流量計は使えません。そこで、渦流量計を毎年交換するのが、最も経済的な方法であると決めたそうです。

  3. 信号変換器との組合せ
    渦流量計は精度がよいので、流量の積算によく使われます。流量計の出力パルスに対応する流量値は、流量計1台ごとに異なり、また一般に整数値にはなっていません。そこで、1パルス当たり100Lなどになるように、分周器で調整します(図3)。瞬時流量を表示するにはパルスアナログ変換器を用います。

    渦流量計の信号は本来パルスです。しかし、2線式DC4~20mA伝送システムが普及しているため、流量計内部でパルスをDC4~20mA信号に変えて送り出すことが多いのです。この流量信号をカウンタを使って積算表示するには、電流パルス変換器でパルス信号に再変換します。瞬時流量(アナログ信号)はパネルメータで表示するのが便利です(図4)。

Contact us製品に関するお問い合わせ

製品に関するお問い合わせや技術的なご質問など各種ご相談に応じます。