TDR方式︓Time Domain Reflectrometry / 時間領域反射測定法
この方式は電子回路で間欠的に発信したマイクロパルスを容器内に挿入した金属ロッドまたはケーブルを媒体として伝播させ、測定対象物の表面で反射し再びロッドまたはケーブルを伝わるマイクロパルスを受信します。マイクロパルスの測定対象物までの往復時間を計測することでレベルや界面を演算します。
この方式の特長は、容器内に垂直方向にプローブを設置することによりマイクロパルスの広がりと減衰を抑え、レベル計取付の制約と被測定物の条件を大幅に緩和し、幅広いアプリケーションでレベルを測定できるようにしたことです。
TDR方式の動作原理
レーダー式レベル計(マイクロ波レベル計)では、電子回路で発生させたマイクロ波を導波管によりアンテナに導き、容器内の自由空間に放射します。
一方、マイクロパルスレベル計(TDR)では、レーダー式と異なりマイクロ波を自由空間に放射するかわりに、容器内にプローブを置きこのプローブにマイクロパルスを間欠的に送信し、測定対象からの反射(誘電率による)により測定対象のレベルを測定しようというものです。
電気部から発射されたマイクロパルスはプローブを通じて下方に伝播します。ここで誘電率に違いがあるとその位置でマイクロパルスの一部は反射され電気部に戻ってきます。プローブの取付部に誘電率差があるので、その部分に恒常的に反射を発生します。---下図(1)
液体のレベル計測を例にとると、容器内にはまず気層部があります。この場合通常気層部の誘電率εrは1でありマイクロパルスは通過して反射しません。次に液面位置にマイクロパルスが到達すると気層部分と測定対象の誘電率差により反射を発生します。---下図(2)
更に下方に異なる液体が存在する場合は上層液と下層液に所定の誘電率差があればその境界面でも反射を発生します。---下図(3)
こうして誘電率の違いによるマイクロパルスの反射によりレベルを計測します。
これらの反射は、反射する位置によりそれぞれ移動にかかる時間差があり、この時間差により液面および境界面のレベルを計測します。この方式では測定対象の誘電率が計測要素であり、液体、粉体、粒体などその形状には依存しません。この技術は、間欠的に発信するパルスとわずかに時間差を変えながら受信回路を短時間起動し、ケーブルに沿ったマイクロパルスの強度分布を測定し、反射パルスを検出するものです。1回のパルスの送信に対し、わずかな時間領域のみ受信を行うことからタイムドメインと呼び、従来から通信ケーブルの破断箇所の特定などに従来から使用されていました。
この方式では非接触式(FMCW)と比較して、ロッドまたはケーブルにマイクロパルスを伝播させることにより、効率良く伝播させることができ、低エネルギーのマイクロパルスで低い誘電率の物質や粉体の測定が可能です。
TDR方式の特長
- 可動部なし。
- 温度・圧力などの測定条件に影響されない。
- プローブの使用により狭いピットなどの測定も可能。
- プロセス接続部温度150℃、最大圧力4MPaまで測定可能。
- プローブ材質は選択でき腐食性の高い液も測定可能。
- 液体および粉体レベル、液体の界面測定と幅広いアプリケーションに対応。
- 通常のダイレクトモードに加えタンクボトムモード(TBF 機能)により、LPG、LNG、液体窒素やプラスチックペレット、おがくずやセメントなど低い誘電率の測定物に対応。
- 界面・レベルの同時測定・出力可能。
推奨アプリケーション
1. 従来のレベル計測方式の代替
下記方式のレベル計は従来の機能・性能を十分満足し、かつ価格レベルからも積極的代替が考えられます。
- 差圧式レベル計(フランジ式、投げ込み式、パージ式)
- 超音波式レベル計
- 静電容量式レベル計
- ディスプレーサ式レベル計
2. 従来計測に困難があった仕様への対応
- 二液境界面
- 粉体サイロ
- 液化ガス(TBFモード)
- 液体アンモニア
このTDR方式マイクロパルスレベル計は、接触式ではあるもののそれがゆえのメリットを多く持つ、ユニークで適用範囲の広いレベル計で、レベル計選択の幅を大きく広げるものと期待されています。
ベーシックタイプ
TGF1100
(液体/粉粒体用)
製品詳細
高精度タイプ
TGF7200
(液体用)
製品詳細
高精度タイプ
TGF6200
(粉粒体用)
製品詳細