面積式流量計

1.名前の由来

面積式流量計は、差圧式流量計と並んで最も古い形式の流量計ですが、今日でもなお広く使われています。面積式という呼び名は、英語のVariable Area Flowmeter、すなわち可変面積式に由来します。では、いったい何の面積が変わるのでしょうか。それについては、次の動作原理のところで説明します。

2.動作原理

面積式流量計の動作原理は、単純明快です。図1に示すように、下から上に向かって広がった透明なテーパー管の中にフロートがあり、このフロートは流れに押されて上方に動きます。フロートが上がるにつれて、テーパー管の内壁とフロートの間から流体が抜け出る量が増え、フロートを押し上げる力が弱くなります。最後にフロートはその押上げ力と重さがバランスした位置で止まり、この位置が流量を表します。フロート自体が指針の役割を果たすため、ほかに余分な表示機構は要りません。

テーパー管の材質としては、耐熱ガラスのほか、アクリル樹脂など透明であれば何でも使えます。流路からのイオンの溶出を嫌う半導体産業では、多少見えにくいのを我慢して、半透明のフッ素樹脂を用いることもあります。

高温・高圧流体や腐食性をもつ流体など、ガラス管では耐えられない場合にはテーパー管を金属で作りますが、困ったことに内部が見えません。そこで、フロートの位置を外部に知らせる仕組みが必要になります。仕組みとして一般的なのは、フロートに内蔵した磁石で外部の磁石を回転させる方式です。具体的なメカニズムについては、図2をご覧ください。磁石を利用する以上、テーパー管は当然非磁性でなければならず、金属ならばすべて使えるわけではありません。

フロートの材質としては、錆びないようステンレスが多く用いられていますが、これも測定対象との関係で、金属、ガラス、プラスチックと様々なものが使われます。測定対象の密度はフロートに加わる浮力に関係し、測定対象の密度が大きくなるほど、フロートは見かけ上軽くなります。極端な場合、測定流体の密度がフロートの密度より大きければ、流量ゼロでもフロートは浮いてしまうでしょう!

測定対象としては、液体・気体・蒸気のほか、低濃度のスラリーも含まれます。粘度については、口径にもよりますが、10ミリパスカル秒(=10センチポアズ)程度の中粘度領域まで使用できます。

3.面積式流量計の特性

まず長所について述べます。

  1. 構造が簡単
    テーパー管とフロートという簡単な構成です。流量計として、これ以上簡単な設計はできないでしょう!

  2. ローコスト
    構造が極めて簡単であるため、当然他の形式の流量計よりローコストです。ほとんどの場合メンテナンスも不要なので、TCO(TotalCost of Ownership)を低く抑えることができます。

  3. 直管部が不要
    管路内の流速分布が測定精度に影響しないため、差圧式流量計の場合のような上下流直管部は必要としません。

  4. 電源が不要
    流れのエネルギーを利用するため、現場指示には電源が不要です。事故や災害で停電になっても流量が分かるので安心です。

  5. 何でも測れる
    前節で述べたように、液体・気体・蒸気・スラリーと適用対象が広範です。温度が下がると固まる液体も、スチームジャケットでテーパー管を保温すれば測れます。

  6. 微小流量まで測定可能
    テーパー管を細くし、かつ上下のテーパー比を小さくする、あるいはフロートを軽くするなどの手段で、極めて小流量の計測が可能になります。

  7. 流量範囲が広い
    1つの流量計で測定できる最大流量と最小流量の比は10:1程度です。ただし、テーパー管とフロートの選択により流量範囲を大幅に変更できます。

  8. 異物の混入に強い
    フロートにごみが引っかかっても、フロートが上昇すればテーパー管との隙間が広がり、ごみは流れ去ります。

では次に、長所の反面ともいえる短所を見てみましょう。

  1. 垂直取付けが必要
    フロートの重さを利用する関係上、垂直以外の姿勢はとれません。しかし実際問題としては、プロセスの中に立ち上がり配管は随所にあるため、取付姿勢が制約となることはほとんどありません。なお、スプリングでフロートを押し戻す工夫を施した水平取付用の製品もありますが、ストロークが短い、スプリングが腐食するなどの問題があり、アプリケーションは限定されます。

  2. 流体密度の影響
    容積式流量流体の密度が変わるとフロートに加わる浮力が影響を受け、フロートの位置が変わります。つまり、体積流量が変わらなくても、流量の指示は変わってしまいます。気体の密度は温度と圧力により大幅に変わるため、とくに注意してください。

  3. 口径の限界
    面積式流量計は、あまり大きなものは作れません。口径 50mm 以下が一般的であり、150mm 程度が限界です。反対に小口径については、数ミリまで細くすることができます。

  4. フロートによるトラブル
    フロートの汚れ、磨耗、腐食など、ほとんどのトラブルは、この唯一の可動部品であるフロートに起因します。空の配管に液体が勢いよく流れてくると、フロートが上部ストッパーに激しくぶつかり、内部を損傷することがあります。また、高圧気体が充満した配管で上流側の圧力が突然抜けると気体が逆流し、フロートが下部ストッパーに打ち付けられ、最悪の場合破裂事故に至ります。高圧ガスラインにガラス管パージメータ(面積式流量計の一種で、パージ装置などに使用される)を使う場合には、とくに注意してください。

  5. 磁性異物に注意
    金属テーパー管の場合、フロートに磁石を内蔵しているため、配管の鉄錆などを吸着します。流体中に磁性をもつ異物が多く混入している場合は、上流側に磁気フィルタを設置する必要があります。

4.応用例

面積式流量計は、差圧式流量計と同様に汎用流量計として広く普及しています。とくに、透明なテーパー管を用いたパージメータは、ローコストの特長が買われ、流量監視用として大量に使われています。発信器付きの金属管面積式流量計は、コスト面での有利さは低下しますが、事故や災害で電源が失われても、現場指示計が使えるため安心です。これは、プラントの安全に対する保険と考えることもできます。

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