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アプリケーション A-0003

飽和蒸気流量計測の改善事例

サンプル画像

蒸気は熱源、動力源また食品などの加工プロセスなどにも広く使われています。しかし、この蒸気の流量を正確に計測するとなるとなかなか大変です。

当社の温・圧補正タイプVMシリーズ マスVコーンフローメータでの改善事例をご紹介します。

蒸気流量計測の問題点

一般的に体積流量計では測定対象である飽和蒸気の圧力、温度が変動すると精度誤差を発生します。蒸気ラインでは供給や負荷の変動による圧力の変化が多く、実際の流量計測精度は多くを期待できないこともありました。これを改善するためには体積流量、温度、圧力の3要素を測定し、計器室に伝送しこれらを演算器(フローコンピュータ)で演算することが一般的でした。この方法は3要素それぞれに計測センサを必要とし、それらを計器室まで導くワイアリングを必要とし、さらに演算器自体がかなりコストのかかるものでした。 また蒸気を熱源とする場合、夏・冬での季節変動が大きく一台の流量計ではレンジアビリティ的にカバーできないことも多くありました。

流量計の問題

これまで蒸気流量計測に使用されていた、流量計と問題
・オリフィス式の問題 :レンジアビリティ、必要直管長
・面積流量計の問題 :運転条件変化(圧力、温度)による精度誤差
・渦流量計の問題 :レンジアビリティ、必要直管長、配管振動、比較的高コスト

改 善

温・圧補正タイプVMシリーズ マスVコーンフローメータ による改善

図1

「Vコーンフローメータ」とは ?
差圧式の流量センサです。原理的にはオリフィスなどの他の差圧式と同じですが、そのユニークな絞り機構により、これまでの差圧式流量センサの弱点を解消しました。『必要直管長がほとんどない』、『レンジアビリティが広い』、『圧力損失が小さい』が三大特徴です。オリフィス式と同じように差圧伝送器により流量信号を伝送します。。

図2

「温圧補正タイプVMシリーズマスVコーンフローメータ」とは ?
現場での設置性向上のために、Vコーンセンサ、三岐弁、差圧伝送器を一体組み付けしたものです。配管に設置し、2線の配線を行うだけでスタートアップできます。
しかもこの差圧伝送器に温・圧補正タイプを搭載しました。飽和蒸気なら一切の付加センサ・機器なしに自動的に圧力補正を行い、変動に影響されない質量流量計測を可能としました。

これまでの代表的納入事例

工場動力設備の各課消費の定量把握
工場設備においてますます経費管理の必要性が高まっています。しかし、蒸気の消費量により使用セクションにコストを振り分けるにも正確な蒸気消費量測定自体に問題がありました。磁気関連商品を製造する有名企業などで各セクションへの蒸気分岐配管にこのVM形を設置していただき、コスト管理の実を上げていただいております。

空調暖房設備の高品位化
空調(暖房)温度は正に空調品質の鍵です。『暑すぎる!寒い!』など起こらないよう蒸気流量の計測・制御は重要です。新設大学病院やそのほかの大規模施設の空調設備にご採用いただいております。

食品産業抽出プロセスの精度向上
食品産業では抽出プロセスに蒸気を多く使います。これまでコーヒー豆からの抽出、鶏ガラスープの抽出などにVMシリーズマスVコーンフローメータをご採用いただき品質安定、歩留まり向上に貢献しています。