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Q8.電磁流量計のアースリングは、どのような役割があるのですか?

MGM1010K

電磁流量計は液体の流量計測に広く使用されます。この電磁流量計の配管への設置に際しては入口、出口に金属製のアースリングを取り付けます。計測流体に接触させ流体をアースします。腐食性の無い場合はステンレス製のものを使用することが一般的ですが、腐食性液体の場合はハステロイ、タンタル、白金などを使用する場合もあります。 このアースリングの役割は以下の通りです。

図

電磁流量計のアースリングは、計測上、次の2つの役割を持っています。

(1)コモンの同電位化

検出器および変換器のコモン(回路アース)と測定液体の電位を同一にする。

(2)流体ノイズ除去

測定液体中を流れるノイズ電流を検出器アースを通して大地に逃がし、ノイズの影響を低減する。

(1)コモンの同電位化について

図

電磁流量計の電極信号入力部は下図に示すように差動増幅回路で構成されており、測定液の電位を基準に両電極の電圧を検出します。検出された両電極の電圧差が流量信号となります。

したがって、差動増幅回路(変換器回路)のコモン(回路グランド)と測定液の電位を同一にする必要があるため、検出器にアースリングを取り付けて接液させ、これを検出器アースおよび差動増幅回路のコモンと接続します。

差動増幅回路のコモンと測定液が同電位でないと両電極の電位差検出が正常に行われず、流量出力が不安定になったり、全く作動しない場合があります。

(2)流体ノイズ除去

測定液中にはポンプなど周辺動力機器からの漏洩電流や、電解槽などが設置されている場合にはそこからの漏洩電流等が流れ込む場合があります。漏洩電流が電磁流量計の測定管内を通ると、電極信号に影響を与え出力の変動等が発生します。  これを低減するため、検出器にアースリングを取り付けてアースに接続し、ノイズ電流を大地に逃がして測定管内に流れ込まないようにします。

取付配管が塩ビなどの樹脂管やライニング管の場合には、アースリングは必須となります。 金属配管の場合には配管またはフランジに検出器アースを接続すれば、配管を通して回路コモンが接液したことになるため、アースリングは必要ありません。

まれに一体形電磁流量計で樹脂管やライニング管に設置しアースリングを取り付けなくても作動する場合があります。これは本体アースまたは電源アースを接続することにより、アース~ポンプまたは他の接液金属部~測定液という経路で結果的に回路コモンが測定液と同電位になっているためと考えられます。この場合、アース経路としては不安定なためノイズ電流の影響が大きくなることがあります。