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Q5.気体計測用面積流量計における単位表記について

単位の表記

気体計測用面積流量計の単位表記方法は大別して下記の2通りの方法があります。

(1) ノルマル(normal)表記
これは計測気体の基準状態(0℃、1atm {大気圧})での体積で目盛りをほどこしたものです。
当然計測気体の圧力・温度はプロセスの条件によりますので、基準状態(0℃、1atm{大気圧})であることはほとんどありません。この使用条件でラインを通過している気体の体積を基準状態(0℃、1atm{大気圧})での体積に換算した目盛りがノルマル(normal)表記です。
この場合流量計の目盛り単位としては、Nm3/h、NL/min.{新計量法ではそれぞれm3/h(normal) または(nor)、L/min.(normal)または(nor)となります。}などです。
これは配管プロセス内を流れている気体の体積ではなく、その計測気体が、0℃、1atm {大気圧}の屋外に放出されたとき(即ち基準状態)の体積で表記するものです。

(2) 使用状況下表記
これは流量計の目盛りをまさにラインの使用条件での圧力・温度での体積で表記するものです。
この場合流量計の目盛り単位としては、m3/h、L/min.等となります。

ノルマル(normal)表記との使い分け

一般に気体(ガス)の取り引きにおいては一定の条件下での体積もしくは重量で行われることが多く、この場合はプロセスに加圧して流しても最終的には基準状態での体積の表示が必要となりノルマル(normal)表記となります。また、反応プロセスに気体を注入する際は、最終的には分子数の管理を行なうこととなり、この場合もノルマル(normal)表記として注入量の基準状態での体積(最終的には質量と同義)の管理を行なうこととなります。

使用状況下表記は上述の通りそのラインでの使用条件での気体体積で示すもので、その気体のユースポイントでも圧力・温度が変化せず同等の体積を保持しているプロセスに多く使われます。但し弊社でご注文を頂いている気体用面積流量計の目盛の95%以上はノルマル(normal)表記であり、使用状況下表記は少数です。これはお客様のご使用方法・目的によるご選択によるものです。

流量換算

使用状況下流量にて目盛をほどこした流量計を基準状態(normal)流量に換算する、またその逆の換算方法を以下に示します。
使用状況下流量を基準状態(normal)流量に換算する場合

基準状態(normal)流量を使用状況下流量に換算する場合

Q(nor) : 基準状態(normal) 流量 (0℃、1atm) [m3/h(nor)など]
Q : 使用状況下流量 [m3/hなど]
p : 使用圧力 (MPa)
t : 使用温度 (℃)

 

その他の表記
  • 質量流量での表記
  • これはノルマル単位表記と同義です。例えば、窒素で100m3/h(nor)の目盛であれば、窒素の基準状態密度(1.251kg/m3(nor))を乗じて目盛を125kg/hとする場合もあります。
    以下に質量流量についての一般的説明を附記します。

    <Q.1> 質量流量とは何ですか?
    読んで字のごとくkg/min.、t/hなど、単位時間に流れる流体の質量で表わした流量です。気体は温度・圧力により体積が変化しますが、質量流量で表示すれば一定となります。質量流量と対比されるのはL/min.、m3/hなど体積流量です。なお、気体に用いられるm3/h(nor)という単位は、気体の体積を基準状態(0℃、1atm)における値に換算したものです。この値は、使用状態での温度・圧力によらず一定となるので、質量流量と同じと言えます。

    <Q.2> なぜ質量流量が必要なのですか?
    一例を挙げると、ごみ焼却場の煙突から出る有害な物質の濃度は、排出ガス1m3(nor)当たりの量で表示することになっています。これを1m3当たりとすると、「排出ガスの温度を上げて体積を増やせば濃度が低く表示できる」という抜け穴が生じます。同様に取引きや化学反応プロセスに係る気体の流量も、見かけの体積変化に影響されない、質量表示が必要となります。蒸気も熱エネルギーに関する計算が質量に基づいているため、質量流量で表わすのが一般的です。

    <Q.3> 液体の質量流量は不要ですか?
    LPGやLNGなど液化ガスの取引きは通常質量単位で行ないます。原油や石油類の取引きも温度補正の上行われています。但し、液体は気体に比べ温度・圧力による体積変化が少ないので、温度補正なしの体積流量で十分な場合がほとんどです。

  • スタンダード表示
    これは体積の基準温度を0℃でなく20℃としたもので、即ち20℃、1atm[大気圧]での体積で表記したものです。大気開放プロセスなどで使われますが僅少です。
    お客様によっては15℃等の温度を採用している所もあります。
面積流量計における誤差要因

面積流量計はその計測原理上、気体計測において流量計の設計条件から実際の運転圧力・温度が変化すると誤差を発生します。この変化・誤差は計算により補正できます。
この補正計算方法は別のご説明を用意してあります。
面積流量計の流量補正」をご参照ください。